伴走談

HSPという自らの特性と向き合い、ロールモデルでありたい|モデル・YouTuberたきび【Vol.8-02】

悩みと向き合い、乗り越えてきた人びとのお話を聞く雑談インタビュー。

第8弾はブライダルモデルの活動しつつ、スリーピースバンド「datt」としてYouTube
配信もしているたきびさんです。

モデル兼音楽家という肩書きは、一見華やかな人生を送っているように感じてしまいます。

しかし、たきびさんも人の人間。
コンプレックスを抱き、乗り越えようと泥臭く努力する姿を話してくれました。

その背景には、大学時代に一緒にバンド活動をしていたリーダーの存在が。

人としての生き方をたくさん学び、順調にステップを歩めると思った矢先、大きな挫折を経験しました。

大学院での不登校。
この経験が、自分の生き方と向き合い模索しつづける大きなきっかけになった。

不登校をきっかけに自分と向き合いどう生きようと決めたのか、お話を聞いていきます。

インタビュアー:かめ(@okame1470)、サカアキミツ(@ebinari
カメラマン:Unosvky(@Unosvky

HSP傾向があることを知る

今の話聞いてると、割と周りのことを気にしてる印象です。今この時間も、みんなに目配せしてくれているようですし…。

まさに不登校をきっかけで知ったんですけど、僕「HSP」傾向があるんです。

HSP…?

“Highly Sensitive Person”ですね。簡単に言うと、めっちゃ敏感な人です。全体の5分の1に傾向があるって言われていて。
感覚的に言うと、情報を拾う網のその網目がすごい細かいって感じですね。普通の人はもっと大きいからどうでもいい情報はスルーできるんですけど、その一部の人はどうでもいい情報も引っ掛ける。で、疲れやすい。でも逆に細かい変化に気付きやすい。
芸術家の人はめっちゃ多いですね。些細な変化にインスピレーションを受けてアウトプットするっていう。

もしかして、大学時代のバンドリーダーもその傾向があったとか…?

かもしれないですね。HSP傾向がある人同士だと会話が早いですよ。察しやすいんで。ワンステップ省いて会話できるんで。僕のHSPの友達だと「そういえば、アレやった?」「やったよ」って「アレ」で何か通じるんです。察しがめちゃくちゃいいんですよね。

HSP傾向がある人同士だったら?

そうですね、同士だとより早いですし、相手がその傾向がない人でも、HSP側は相手が言ってることを察しやすい。共感もしやすいので人に愛されやすいんですね、HSPの人って。どういうことをしたら相手が喜んでもらえるかっていうことにも敏感なんで。人付き合いがめちゃくちゃ有利っていうのは実際あります。
雑談途中で、弾き語りもしてくれました。

HSP傾向がある自分との向き合い方

へー、特性的なところがあるんですね。

そうですね。疲れやすいっていうのもあるんですけど。人って情報の塊なんで。

感受性豊かすぎるから…。

はい、相手の情報を拾いすぎて。あと、相手との境界線が薄いっていうのはよくありますね。共感しすぎちゃうっていう。

それで関係が深くなりすぎて、すごくしんどくなるっていうのはちょくちょく聞きます。

ありますね。相手が「辛い」っていったら「私もわかるよ、私もこういうことがあって」って共感しちゃうと、自分も辛くなっちゃうこととか。

逆に引きずられるっていう感覚ですかね。

引きずられますね。

そこの距離の取り方が難しいですね。

そうですね。だから人に良くしすぎて、自分の時間がなくなっちゃうっていうことはあります。

自分のHSP傾向に対する工夫はどうしているんですか?

僕で言ったら、僕が尊敬している人の立場から見て、バランスがいいと思える選択をするといいってよく言うんですね。僕自体じゃなくて「尊敬する人だったらどうするかな?」って。その人にとって一番バランス取れそうな人を想定するのが良いですね
たきびくんなら、大学時代のバンドリーダーとか?

そうなりますね。
自分がHSP傾向があるって認識したのは、具体的にどうやって気づいたんですか?

不登校になって、精神科で診断受けたのがきっかけですね。すれ違った時に誰かが笑ってたら「自分、笑われたんじゃないかな」って思うことを話したら、医者から「視線恐怖症」て言われたんです。
でも、人前に出るとめっちゃ上がるしって言うのもあるから、自分で調べてHSPを知って、そっちの特性の方が強いかなって感じたんです。

お医者さんに話した限りでは視線恐怖症って言われたけど、自分の感覚としてはHSPって言うのが…。

そうですね、視線にだけ敏感なわけじゃないって言う。美しい自然を見たら、心が震えて生きてて良かったって思うこともあるんで。

なるほど、環境に対するストレスが人一倍感じたのも、HSP特性があったんじゃないかと。

そうなんです。HSPって外にも敏感なんですけど、自分の内側の感情にも敏感なんですよ。「自分がどう思われてるのか」とか、不安に思うとそれを増幅しちゃって。

「5分の1」だからこそ、自ら表に出る

今こうやって僕らに話してくれるのは、乗り越えられたからやと思うんです。人前でHSP傾向があることを話すことに、抵抗はないんですか?

HSPの人たちでも活躍できるモデルケースになりたいなっていうのがすごいありますね。正直社会構造と合わないじゃないですか。いわゆるHSPじゃない5分の4、その人たち向けに作られていると思うんです。

だから、5分の1の人たちのロールモデルとして、前に出ることを決めた?

まさにそんな感じです。なんで自分が活躍する必要はめちゃくちゃあるなと思っていますね。
有名になってから自分の特性を公表する人は多いと思うんですよ。逆に最初から公表して頑張る人って、最近ちょっと出てきてるくらいで数は多くないかなって思ってて。そこを僕は狙っていきたいなって感じですね。

言い訳のように捉えられてしまう不安っていうのは、ないんですか?HSP傾向があることを公表することで自分を防御する、安心材料にはなると思うんですよね。
たきびさんのように公表して活動していくと、いわゆる「アンチ」が出てくることもあるんと思うんです。

寧ろアンチウェルカムって思ってます(笑)。アンチがきてくれる分、注目されて再生回数伸びるじゃないですか。
りゅうちぇるもどれだけ最初キモいキモいって言われてても、続けることでキャラとして定着して、結果愛されているっていう。

アンチが来たら認知されてるんだなっていう証拠だから、むしろやりがいが出てくるってことですね。

挫折し、自分と向き合う

大学院の不登校をきっかけとして、自分と向き合った結果YouTube活動を始めたと思うんですけど、どういう経緯で始めようと決めたんですか?

自己分析ですね。具体的には、自分が持ってる「手札」とやりたいことを比べて決めましたね。

と言うと?

モデルやってることもあってルックスには自信ある、それで歌と楽器はずっとやってきた。あとは人前で普通に喋れる。これが僕の「手札」。
一方目的はHSPのロールモデルだから、インフルエンサー的な強い発信力と目立つこと。

それらを加味した結果、YouTuberだったと。

そうです。YouTubeの音楽系だなってなりました。

なるほど。

僕の中で「才能」と「個性」って違うなと思っていて。才能って、ポーカーでいうと、ジョーカー的な役割だと思うんですよね。1枚で、最強なのが才能だと思ってて。僕自身はそれはないんで。だから5枚で一つの役を作る必要がある。それが個性だなと思ってて。

それで作りたい役と作れる手札は何か、考えたと。めっちゃ合理的ですね…。

そうですね、現実的になりましたね。

今までは違かった…?

前は自分の理想をどれだけ体現するかっていうのでしたけど、周りで理想を追い求めても形になってない人が多かったのと、理想よりもまずは世の中のニーズを優先してる人の方が成功してるっていうパターンを見て、考え方は変わりましたね。
HSPは認知度がすごく低いから、その認知度を上げるためにはまず僕の認知度を上げる必要があると思って。

正直、頭では分かってるんですけど、感覚としてはめっちゃ抵抗が出てくると思うんです。受け入れられるようになったのはどうして…?

成功している人と同じことやってみて、やっとその人の立場がわかったことがありましたね。
それこそ成功している人に当たるのが、さっきから話している大学時代のバンドリーダーの存在ですね。あとその人の師匠みたい人。
行動と言動が伴っているのを見てたのはでかいですね。実際に。言ってることは当たり前なんですけど、それをちゃんと行動として形に残せてるっていう純粋さに感動したんですよ。

自分と向き合って、生き方の源泉を知る

やっぱり、そこには周りの存在が…。

やってる音楽と普段の生活に齟齬がなかったんですよ。矛盾がない。生活の部分が音楽に出てるっていうのはめっちゃあって。音楽きいて、その人の行動を見ても、「あぁ、矛盾がないな」ってすごい感じますね。

ちゃんと音楽にも出ている。

すごい人って、音に立体感があるんですよね。普通のピアニストの音って「二次元」なんですよね。でも上手い人のを聞くと、音に奥行きが出てくるんですよね。素人が弾いても同じようにはならないんですよ。感動ってこういうところから来るんだなっていうのは思いましたね。

尊敬している人たちの生き方を真似てみて、やっと納得感があったんですね。

恩師の人に「『止まり木』になりなさい」って言われたことがあって。

止まり木…?

鳥は気に止まって休むじゃないですか。大きいカラスみたいな鳥が来ても、止まり木であることをやめてはいけないって。木が嫌がったらそれは止まり木ではないって言われて。あなたもそうなりなさいって言われて。

なるほど…。

自分の気にいる気に入らないで相談事を決めたりとか、好き嫌いで判断しては止まり木にはなれない。それを実際にやってみたときに、その人の言ってた言葉の本当の深さを知るっていうのはありましたね。
何よりも実践している時の音楽に、自信を持って弾けるっていうのはでかいですね。自分がやってる音楽は嘘じゃないっていう自信を持って歌えるんで。
そして、そこを感じてくれる人出てきてくれた。

ちゃんと現実に現れてきたんですね。

LINE LIVEやってて相談がくるんですよね。それがきっかけでファンになってくれたり。人柄に惹かれましたって言ってくれる人も多くて。

止まり木の話も、言葉としてはわかるんですけど、感覚として降りてきてないんですよね。

僕も5年くらいかかりましたよ。自分を客観視するようにして、やっとって感じですね。それまではいろんな人に相談してました。

自分と向き合ったからこそ、一人ではなく誰かと一緒にやる

時間かけて、ゆっくりでも確実に、ですね。
今「datt」として一緒に活動するまでは、一人でYouTubeやるつもりだったんですか?

そうですね。最初は一人でやってたんんですけど、まぁ再生数は伸びないと。現実こんなもんなんかなと思って。

そこから誰かと一緒にやろうと考えを変えたのは…?

そもそも一人でやろうと思ったのがミスってんだなって思って。
逆にいうと一人でなんとかできることしかやってこなかった。受験とかも個人勝負だし。でも一人だとパフォーマンスが維持できない、大きいことにどんどんやるようになってきたのかなって。

チームプレーに関して、戸惑いとかなかったんですか?
僕もずっと個人でやってきて、大学で初めてチームで何かする経験をしたんですけど、チームプレーって言葉は知っててもちゃんと概念がおりてなくて、周りの人とうまくいかなくてしんどかったんですよ。
一人からチームになるっていうのがスムーズにできたのはどうしてなんだろうなって。

一旦一人でYouTubeやってみて、自分が得意なところと苦手なところが分かってきたなと思います。やってみて分かったことがめっちゃ多いですね。動画編集とかも、実際にやってみて「別に俺はやんなくてもいいや」って。俺がやるべきじゃない。必要だけど。

まさにたきびさんの「できることはできる、できないことはできない」が活きてますね。

そうですね。もっと自分だからこそできることに縮めていくっていう感じですね。

大学院の不登校から自分と向き合って、HSP傾向のロールモデルとしてどんどん表舞台に立つことを決めた。その土台が整ってきた感じですね。
一旦これで一区切りというか。

そうですね、転換の時期かなと。これまでは選択の時期で、これからは集中の時期かなって思います。

不登校がきっかけで、自分がHSP傾向があることを知ったたきびさん。

これからどうして生きていったら良いか、自分と向き合った結果がHSP傾向があることを公表しつつYouTubeで活動すること。

同じHSP傾向がある人に勇気を与える存在として積極的に前に出ることを決めました。

とても勇気がいることだと思います。

しかしその背景には、人生で最大の恩人からの学びと今まで培ってきた、できるできないを見分ける力。

大きくその二つが交わって今のたきびさんの生き方があると感じました。

でも、今の生き方は一人じゃ「できない」。
今たきびさんの生き方は、支え合える人らと一緒にいるからこそ。

今のたきびさんの生き方は、まだ始まったばかり。悩みやどうしてもできない壁にぶつかることもあるはず。

向き合ってどう乗り越えていくのか、それはまた後日お聞きしていきたいですね。

 

P.S.

雑談後、なぜかお店の前で粉雪を合唱する編集長とたきびさんがいました。笑

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