悩みと向き合い、乗り越えようとしてきた人びとのお話を聞く雑談インタビュー。
第6弾は、ライター・詩人のエルハワリ愛実さん。えるちゃんです。
彼女は大学時代「大学生の着物着付け師」として、精力的に活動していました。
しかし、2018年に大学を中退。
今はフリーランスのライター・詩人として、自分の感情や思いをnoteに書き綴っています。
突然の活動の変化が気になり、お話を聞かせてもらいました。
浮かび上がってきたのは「気持ちに正直なままでありたい」という思い。
一方で、正直であり続けたいゆえに生まれる葛藤がありました。
noteで自分の気持ちを書き続けること
大学生の頃から、ブログに自分の気持ちを書き続けてきたえるちゃん。
始めて2年近く経つそう。
今は、ブログサービス「note」で、日々感じたことを綴っています。
えるちゃんのnoteアカウント:https://note.mu/kimonoeru
noteを読んで気づいたのが、2018年の夏頃から文章に変化があったこと。
ちょうど彼女が、ライターとして活動を始める時期と重なります。
自分のために、思考を整理するだとか、なんだろうな、備忘録的な意味として書いていました。
でも文章って、読む人がいてこそ、その文章に価値が生まれるわけで。仕事になるのはその人が価値を感じるから。
見てくれる誰かがいるっていうことを考えながら書くと、「あぁ、この文章は共感されないな」とか「こっちの文章は反応が少ないな」というのが、分かってきて。
ライターとして仕事を始めたことで、文章は読んでくれる人ありきだと強く感じるようになったえるちゃん。
一方、大好きな詩を書くことに悩んでいました。
私は詩が好きだから書いてるけど、詩って読む人からの反応が少ないんですよ。
読み手の自由な解釈ができる詩だからこそ、相手が何を求めているか分かりにくい。
相手も、自分が感じたことをコメントして良いかわかりづらい。
「ライター」という立場に立ったことで、思うように詩を綴ることができなくなった。
今は全て公開するのではなく、世の中の様子を見て公開するものを選んでいるとのこと。
それでも彼女が書いた文章たちの中には、どうしても気持ちがまとまらないものも。
そんな文章たちが、Twitterの裏アカとしてまとめられています。
呼吸するように、文章や詩を書き続けるえるちゃん。
今後、自分の文章をどうしていきたいのでしょうか。
ロールモデルがないからこそ、やりたいことを一つずつやっていく
20代の間は、もうなんでもかんでもやってみる時間にしたいんです。
「収益がどうたらー」とか「相手が求められてるからどうたらー」ってのを、そこまで考えずに自分の、こう、表現したいことを、突き詰めていきたい。
自分が書きたい文章で仕事ができること。書き手の理想の一つだと思います。
書きたいことで生きていける人がたくさんいる中、目標となる人はいるのでしょうか。
発信したいことありきの文章を書いて生計を立てている人で、「ロールモデル」になりそうな人があまりいなくて。
正直、これからどうするのが一番の近道かってのがあんまわからないんです。
だから「思いついたものを一個ずつやるしかないな」って。
ロールモデル。彼女が実現したい生き方をそのまま体現している人。
彼女の中には、理想をそのまま体現している人が見当たりませんでした。
だから、理想に近づけると思うことを一つひとつやっていくしかない。
道のないところをいってるような感覚ですね。
彼女が表した、自身の生き方。
理想の人をそのまま追いかけるのでなく、知ってる人でもそうでない人でも、彼女が「良いな」と思ったものを取り入れているそう。
そんな彼女の生き方は「書き換え作業」という印象。
思うがままに書いてみて、違ったらまた書いてみる。
その繰り返し。
彼女の書く文章が、そのまま彼女の生き方につながると感じた瞬間でした。
「一対一」の関係を大事にしたい
理想の人をそのまま追いかけるのでなく、いろんな人の良いところを取り入れていきたいと話す彼女。
だとすると大事なのは、どんな人と関係を持つかだと思いました。
人と関係を築くとき、彼女はどんな工夫をしているのでしょうか。
私、大人数で話すより一対一で喋るほうが好きなんです。
大人数で話すとき、同時に、全員に伝わるように、相手の反応も見ながら、伝えたいことを伝える。これってとても難しいんですよね。
私は一人ひとりちゃんと会話して仲良くなりたい。私のことをちゃんと伝えたいのはもちろん、相手は私の目にはどう写るのか、ちゃんと一対一で知りたいんです。
大人数だと、その分みんなが納得することを伝えないといけない。
その結果、どうしても平坦な言葉しか選べない。
でも一対一だと、相手が求めていることに対して真摯に言葉を選ぶことができる。
だから、相手との信頼関係が築ける。
何かしらのグループや組織にいる時、結果的に数人ととても仲良くなることが多いそう。
一対一で話したいからこそ、お互いのことを知ることができる。
相手をちゃんと尊重したいという、えるちゃんの気持ちが感じられました。
相手と家族以上の関係になっても、束縛したくない
一方で、一対一で関係を築きたいゆえに悩んでることも。
人と組んで何か一緒に作ることがめっちゃ苦手なんですよ。
仲良くなると、すごく深いところまで入って家族以上に仲良くなるんです。相手が何を思っているかわかっちゃうくらい。
でもその近すぎる関係が、逆に相手を束縛してしまうんじゃないかって不安になるんです。
大学生の頃、友人と一緒にネットショップを運営しようした時があったそう。
一緒に過ごした時間が長かったからこそ、相手が本当にやりたいことが分かってくる。
しかしその近すぎる関係を理由に、相手が本当にやりたいことができなくなってしまったら…。
結果、お互いがやりたいことをやれるよう、あえて一緒にやらない選択をしたことを話してくれました。
人は常に変化し、成長していく。
その変化を、近過ぎてしまった関係が邪魔してしまうのではないか。
彼女が抱く葛藤が見え隠れしていました。
束縛したくないから、束縛されたくない
人と一緒に何かすることは、本当に難しいことだと思います。
特に組織の中の場合、一層顕著になります。
えるちゃんはどのように考えているのでしょうか。
すんごいわがままなんですけど、自分は嘘をつきたくないんですよ。
自分が嘘だって思ってることを、ほんまに言いたくない。
えるちゃんの言う「嘘」。それは自分が納得できないこと。
納得できなければ、できるまでとことん向き合いたい。
彼女が大事にしたい価値観が見えてきました。
彼女の言葉は続きます。
嘘を押し付けられるのが、超嫌っ。たとえ嘘をつくにしても自分で決めたいんです。
だから、他人に自分の人生を決められるのがホント嫌で、自分で決めたい。
これからどこに住んで何をしていくのか、自分で決めたいから「じゃあフリーランスになるしかないか?」って考えるようになりました。
私は多分、あっちこっち行って、やりたいことはやりつつも、ここ2、3年はひとりでふらふらする生き方になりそうだなーって思ってます。
実際、今はいろんな場所を転々として生活しているとのこと。
一つの場所に留まるのは、長くて1年くらい。それでも、住んだ場所が彼女の「故郷」になる。
人も組織も場所も、お互い尊重し合える「一対一」の関係を作りたいという気持ちが感じられました。
だから、納得できないことを押し付けられることに人一倍抵抗する。
相手を束縛したくないのは、逆に自分も束縛されたくない。
自分の気持ちに正直でありたい。
彼女が一番大事にしていることが伝わってきました。
自分に正直であり続けられるために。
彼女は今まさに生き方の模索をしていると思います。
しかし、納得できないことでも、時には飲み込んだ方が楽になることもあると思います。
なぜ、そこまで正直でいることを大事にしたいのでしょうか。
その背景には、高校時代、彼女が「死」を真剣に考えた時期がありました。
「死」を真剣に考えた彼女が、どのように今の生き方につながったのでしょうか。
次回、えるちゃんの高校生のお話から続きをお聞きしていきます。
インタビュアー/ライター:かめ
写真:げん
撮影場所:OSAKA STATION CITY
ここまで読んで頂き、ありがとうございます。
今回の記事も含めて、Blind Up.では働き方で悩んでいきた「当事者」によって運営されています。
もし、当メディアに興味がある方は、以下の「関わり方」ページをご参照ください。