伴走談

一度人生を終わらせたから、思うがままに生きる|ライター・詩人える【Vol.7-02】

悩みと向き合い、乗り越えようとしてきた人びとのお話を聞く雑談インタビュー。

第6弾は、ライター・詩人のえるちゃん。

第1部では、主に自分の文章や詩を書き続けることについてお話を聞きました。

見えてきたのは、自分の気持ちに大事にしたいという彼女の生き方。

自分の気持ちに背くことに、人一倍抵抗してしまう。
なぜ、そこまで大事にしたいのか。

その背景には、高校時代、彼女が「死」を真剣に考えた時期がありました、

後半は、そんな自分自身について考え始めた高校時代からお聞きしていきます。

死を通して、一旦人生を終わらせた

エジプト人の父と日本人の母のもとで生まれたえるちゃん。

自分自身について考えるきっかけの一つとして、ハーフであるがゆえに得た経験を話してくれました。

高校生の時、自分自身について一番ひっかかった時期で。
「何人なんやろ」とか「私のルーツはどこにあるんやろ」とか。日本にいても、外人だって言われたこともあるし。じゃあエジプトに行けばどうかっていうと、現地語がしゃべれる訳じゃないし。
私はどこに属している人間か、はっきりしなかった。

エジプトと日本の好きなところ嫌いなところ、どちらも知ってきたからこそ自分の中で両立させられない違和感を抱いていた。

そんなもやもやを抱えつつ、外人だと思われ英語を求められたり、宇宙人とからかわれた経験もした。

自分は何者か腑に落ちない一方で、周りから「ハーフ」として一概に見られる。
その間にいるしんどさは、想像つきません。

最終的に彼女が取った選択は、「死」でした。

ボーナスステージとしての人生、やりたいようにしたい

結局死に切れなかったえるちゃん。
ただ死を考えたこと機に、自分の人生を一旦終わらせることにしました。

今までの経験を活かしつつも、まっさらな“私”として、残りの人生を「ボーナスステージ」として生きることに。

今は「えるちゃん」というゲームのキャラクターを、自ら操作している感覚だと語ります。

自分を意のままに楽しませたい。

ボーナスステージなんだからやりたいことをやっていきたいと、彼女は決めました。

大学へ進学し、自分がやりたいと思ったことを一つひとつやっていくことに。
その中の一つとしてあった着物が、たまたま彼女の中でヒットしました。

“私”ではなく“大学生の着付け師”だった

着物を着たいけど着方がわからない人たちに向けて、着付けの講座を何回も開いた彼女。

一方で、少しずつ新たな違和感も生まれてきました。

着付けの活動をやっている時、講座やセミナーを開いたり、ラジオにも出演させてもらったり、医療と着付けを絡めたり…。着物の活動がどんどん発展して。
ただ、発展すればするほど「あの子は着物の子」という印象を持たれてると感じて、それがもやもやしたんです

着物の話がふっと上がると「じゃあエルちゃん呼ぼうよ」って、いろんな人を繋げてくれたこともありました。
嬉しかったんですけど「私は着物の人っていう立ち位置なんや」って思うと、寂しく感じてしまって。

私が本当にやりたかったのは、ただ着物を着たい人と一緒に着て一緒に遊びたかっただけ。
着物に興味があるのにやり方を知らないだけで着ないっていうのが、すごくもったいないと感じたからなんです。

自分がやりたいことがそのまま、相手に伝わるとは限らない。

たとえ着物の活動が発展したとしても、自分の中に芽生えた違和感はどうしても見過ごせませんでした。

文章でありのままの“私”を綴る

だから、気持ちをそのまま表現できる文章を書き始めたのでしょうか。

文章だと、私が言いたいことを言えるので、周りに左右されることが一切ないんですよね。だから文章は、かなり楽。

文章を書くこと自体は中学校から続けていたそう。

ただ、人に公開し始めたのはつい最近。
ファンであるライターが、noteを利用していることを知ったのがきっかけでした。

なんでもかんでも文章として公開しているのを見て「あぁ、良いんや」って。
今までは、チラシの裏とか、授業ノートの端っことか、テストの問題用紙の裏とかに書いてたんですけど(笑)。
別に見せちゃダメって思っていた訳じゃないんですけど、単純に公開して良いって知った感じ。

しかしネットで思うがままに発信すると、炎上してしまうことが多々あります。
自分の気持ちを公開することに抵抗はなかったんでしょうか。

最初は誰にも見られないようにひっそりと始めました。
出しても良いかなって思った文章に共感してもらえて「じゃあもうちょっと出してみよっかな」って。その繰り返し。
徐々にハードルがなくなっていきました。

最初は自分のために書いた文章が、誰かの共感を呼んでくれる。
とても嬉しいことだと思います。

彼女が文章を書き続ける理由が見えたように感じました。

ライティングは、どこでもできるアルバイト

普段から自分の気持ちを文章にしていると、ライティングの仕事はしんどくないのでしょうか。

クライアント先が求めている文章を書くには、自分の気持ちは二の次だと思います。

好きに書けない仕事を、どのように工夫して続けているのでしょうか。

ライティングは、パソコンがあればどこでも仕事ができるアルバイトのように思ってます。
違うのは、やればやるほど時給が上がったり、仕事を選べるっていう、自由度が高いこと。

こんな風に考えを切り替えたら、めちゃくちゃバイトしてた経験もあって、割り切ってクライアントが求めるものに集中できるようになりました。

同じ文章でも、誰のために書くかで全く違う。
彼女なりにメリハリを付けて書いているんだと感じました。

 

 

自分の気持ちに正直に生きるために、文章を書き続けるえるちゃん。

しかしそのための選択とはいえ、大学を中退しフリーランスになることに、怖さはなかったはなかったのでしょうか。

とても勇気のいる選択であるはず。
その勇気をどうやって生み出せたのでしょうか。

彼女の勇気の源。
大学時代からずっとお互いを支え合える親友の存在がありました。

彼女は親友の存在を「株主」と例えます。
ただの親友ではなく株主。一体どういうことでしょうか。

次回が最終回。
えるちゃんが株主と例える親友の存在についてお聞きしていきます。

インタビュアー/ライター:かめ
写真:げん
撮影場所:OSAKA STATION CITY

Blind Up.は関わりたい方をお待ちしています

ここまで読んで頂き、ありがとうございます。

今回の記事も含めて、Blind Up.では働き方で悩んでいきた「当事者」によって運営されています。

もし、当メディアに興味がある方は、以下の「関わり方」ページをご参照ください。

関わり方ページへ