伴走談

「好き」は「好き勝手」じゃない、相手がいて「好き」ができる|デザイナー北村友莉さん【Vol.4-03】

働き方に悩んできた当事者たちの、悩みを乗り越えた経緯や、働き方の工夫を綴るインタビュー記事「伴走談」。

第4弾は、デザイナーの北村友莉(きたむらゆり)さんです。

絵と向き合い、絵で生きるためにペンを握り続けた。
その裏では、コミュニケーションの苦手意識から生まれた、焦りがあった。

それでも、絵を通して社会と繋がる経験を得ることができた友莉さん。

会社員として、組織の中で自分が活躍できる場所を模索し始めました。

その時間は、彼女にとって、とてもとても濃い時間になっています。

今の彼女の働き方には、どんな工夫があるのでしょうか。

「文字」が絵に生きると感じた

かめい
かめい
今勤めている会社を選んだのは、どんな理由があったんですか?
友莉さん
友莉さん
HPを見た瞬間、一目惚れしたんです(笑)。「こんな面白いデザイン会社は無いんじゃないか」って。
面接でお話を聞いて、特に文字構成が素敵だと感じました。もしかしたら、他にはいないんじゃないかって思うぐらいの徹底ぶりでした。文字を扱うことに苦手意識があったので、この会社で文字を勉強すれば、「もっと別の制作ができるんじゃないか」って。
自分の絵の限界を、突破できる可能性を感じたんですね。
そうですね。入って2カ月(2018年12月現在)なんですが、1年以上いるような感覚がして。
めっちゃ濃い時間を過ごしているんですね。実は今お話していて、コミュニケーションに苦手意識があると全く感じないんですよ。
ありがとうございます!自分ではわからないんですが…。
友莉さんにとっては、好きなことをただやり続けただけ、という感覚だと思うんです。でも、その時間が蓄積されて今、昇華されたのかなと。好きだからこそ、真剣に向き合ったからこその証拠だと思うんです。
そうですね。絵に真剣に向き合ってきたから、関わってきた人たちと普通にコミュニケーションを取れるようになりたいって願いは生まれましたね。
それが今、叶いつつあるんだと思うんです。絵を通してコミュニケーションができるようになった背景、友莉さんにとって「伴走者」だと思える人を教えてください。

絵で繋がった伴走者から学んだ、「当たり前」が一番素敵

会社の方ですね。実は2名でデザイン会社をやられていたんです。わたしで3人目。そのお二方には本当に感謝しています。
お二方から、たくさん学びを得ているんですね。
はい。さっき言った文字校正に関しては、たくさん学びがあります。例えば、カタログってとてもキレイに作られているんですけど、少しでも配置がズレるだけでガタガタになるんです。
カタログの整理整頓がとても上手なんですよね。「これも一つの能力か」って。普通のものを普通に作る。これがすごい難しいんだって実感しました。
デザインは整理整頓ということですか…。
「日常の当たり前を上手に作れる人が、一番必要な人なのかな」って思ったんです個性なんて、ほんとに小さいです。「もう、どうでもいいや」って思うようになりました。
個性は大したものではない…。
個性は、育てるものではなく、にじみ出るものだと思うようになったんです。
人に迷惑をかけずに、ちゃんとコミュニケーションが取れて、その上で自分の好きなことができる、十分幸せじゃないかって。

苦手なこととの向き合い方

会社での時間を、スポンジのようにたくさん吸収しているように感じました。
無いものねだりなんですよ。自分に持ってないものがほしいので、相手の良いところを、どんどん持っていく感覚です。
自分に無いものがあるのは、みんな知ってるんですけど、意外と具体的に言えないと思うんです。でも、友莉さんはハッキリとわかっていて、自分なりに言葉にすることができるのが、強みだと感じました。
ほんとですか?自分としては自覚がないですね…。
強みって、無自覚だからこそ、強みだと思うんです。 ただ、強みを活かせている一方で、弱みなどで苦労や大変なこともあると思うんです。
ないですね、ないです!丁寧に教えてもらってますし。できないところは、ちゃんと教えていただいてます。今と昔を比べると、苦労したっていうのが、ないですね。
昔、苦労したっていうのは…?
自分の言いたいことが伝わっていなかったのがイヤでしたね。せっかく自分とコミュニケーションする時間をもらっているのに、与えられてないと感じたことが悲しかったです。人生の時間をもらっているのに、何もできないっていう悲しさ、悔しさ…。
「何だったんだこの時間は?」って思ってしまう…。
はい。「貴重な時間を殺してしまったんじゃないか」って。
コミュニケーションは相手の時間を奪うって考えると、必ず実りのあるものにしたいってことですね。それをどのように乗り越えてきましたか?
仕事においては必要最低限に抑えるようにして、制作する時間に集中するようにしています。「良いものを作って誰かに元気を与えられたら、役目は果たしてる」って考えています。
コミュニケーションを取りたいという願いがありつつも、苦手意識があるのも事実。それを受け入れた上で、絵を通したコミュニケーションの仕方を整理していったんですね。
苦手なことを無理にやって、相手の時間を奪うよりも、自分が好きなこと・得意なことを自由にやって、でき上がったものでコミュニケーションを取る。
ミミズみたいな生活ですね。地中に埋まっていて、土を動かして、エネルギーを作るっていう…。
ミミズですか…。
セミも憧れですね。土の中で長い時間、一生懸命成長して、成虫に出てからは一瞬。でも、その一瞬に全力を注ぐ
自分の生き方、役割に情熱を燃やし尽くす…。今まさに、生き方について出てきました。ここまでお話をして、好きなことを続けていながらも、コミュニケーションで悩んでいる方々に、友莉さんから伝えられることはありますか?

「好き」は「好き勝手」にやることじゃない

好きなことばかりして、集団行動や人とのコミュニケーションが苦手になりましたけど、「なんとかなるよ!」って言いたいです。でも、それだけじゃ良くなくて、その好きなことで生きていくための工夫は必要です。
友莉さんの場合だと、Instagramにアップしたり、人に絵を見せたり。
はい。でも、難しく考えなくて良いです。友達に見せるだけでも十分です。
ただ、「好きなこと」は「好き勝手」ではないんです。
どういうことですか?
私も一時期、「好きな絵を描いて生きていきたい!」って気持ちがあったんです。でも、海外に壁紙を売っている方のもとでインターンをしていた時、「一匹狼は死ぬぞ!」って言われたんです。
つまり、自分1人で好き勝手に作品を作るのではなく、いろんな人と関わることが大事だと。
はい。結局、絵を売るということは、その先にお客さんがいるということです。お客さんが求めることを理解しないと、売れない。
もっと言うと、たった20数年しか生きていない私の世界観なんて、ちっぽけで、たかが知れてるんですよね。
いろんな人と関わることで、視野を広くしていかないと、生きていけないし、結果的に自分の好きなこともできない…。
自分の好きなことって、いつでも追い求められるんですよ。だから、今は描き続けながらも、いろんなことを知って取り入れることが大切だと考えています。
そうすることで、逆に自分の可能性も広がり、できることも増えると。
はい。自分ひとりで描いた世界ってほんと小さいです。だからこそ、好きなことは、いろんなものを取り入れながら、続けることが大切だと思います。

相手ありきの絵だからこそ、「好き」な絵を「好き勝手」にしない。

全て、大好きな絵から、そして絵でつながった人たちから学んだ、大切なこと。

自分もコミュニケーションが得意じゃないという意識がありました。うまくいかない時がある度に、自己嫌悪に陥る日々がありました。

友莉さんは、同じような経験がありながらも、受け入れた上で、大好きな絵で工夫し、乗り越えていっていると感じました

コミュニケーションに苦手意識を持っている方は、たくさんいらっしゃると思います。でも、決して「言葉」でのコミュニケーションが全てじゃない。

言葉で得られなかった経験が、たくさんあるかもしれない。しかし、絵と向き合った時間があって、今の友莉さんがいます。

友莉さんの働き方への挑戦は、始まったばかりです。

ライター:かめい(@okame1470)
カメラマン:げん(@inkoinko666)
インタビュー日:2018年12月8

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