伴走談

作家として独立、「ひとり」だけど「孤り」じゃない|アーティストBambi【Vol.2-03】

働き方に悩んできた当事者たちが、自分らしい働き方ができるようになったきっかけやその経緯、そして彼らのとなりで支えてくれた「伴走者」について、当事者目線から綴っていく「伴走談」。

第2弾は、自らボールペンアーティストでありながら、アーティストのサポート活動もしているBambiさんです。

鬱という原体験から、自分には「絵」があるとわかり、「絵」で生きていくと決めたBambiさん。アーティストとしてのサポートという姿勢は、すでにこの時からありましたた。アーティストが作品に込めた「想い」を心から尊重し、彼らと交流を深めていきました。

その中で、ついに作家としての伴走者に出会います。作家として独立を果たしたBambiさんは、決して「孤り」で歩めた訳ではありませんでした。

第1部、第2部を読んでいらっしゃない方は、せひこれらから読んでいただけると幸いです。

「本当に何もない」と感じた時にしていることが、自分の好きなこと。|アーティストBambi【Vol.2-01】働き方に悩んできた当事者たちが、自分らしい働き方ができるようになったきっかけやその経緯、そして彼らを背後で支えてくれた「伴走者」について...
「ストイック」ではない、あるのは絵に対する「想い」だけ|アーティストBambi【Vol.2-02】働き方に悩んできた当事者たちが、自分らしい働き方ができるようになったきっかけやその経緯、そして彼らのとなりで支えてくれた「伴走者」につい...

ライター:かめい(@okame1470)
カメラマン:はしー(@hashii_2)
インタビュー日:2018年11月11日

「作る」視点だけではなく、お客さんの「見る」視点を学んだ

Bambi(以下略)
Bambi(以下略)
あきおさんは、ただのオーナーさんではなくて、大学の講師やってたりとか、自分でミュージックビデオ作ったりとか、表現の部分を自分でやっていらしゃったんです。そこで約2年くらい、ずっと育ててもらったんです。特に2年目は自分がギャラリーのスタッフになって、運営側からみんなの作品を見てどう感じるか学びました。

かめい(以下略)
かめい(以下略)
また違う立場の経験ができたんですね。

うん。どういう風に展示したら綺麗なのか面白いのかを学んで、接客の仕方も学んだ。アーティストにとって必要な知識とスキルをそこで学んだっていう感じですね。

その2年間の学びの上で、自分の作品にはどのような変化が生まれましたか?

「自分の作品」というのが出来上がりました。要は、今のスタイルが確立できたんです。

今までは作家さんとのコミュニケーションを、そしてオーナーさんと出会って、スタッフさんになった瞬間に、「じゃあ自分の作品を見せるってどういうことか?」っていうステップを上がったんですね。

そうそう。

なんか、視点の変えることが自然とできてる感じですね。

そうですね。

すごい失礼かもしれないですけど、作家さんって我が強いイメージがあるんです。一方でBambiさんは柔軟に視点を変えられた。すごい良い流れだなって思いました。

自分自身の作品と向き合う時間が取れなかったんですよね。だから、「自分の作品って何だろう?」って思ったので、いろんな表現の仕方をしてたんですよ。その時、あきおさんからいろいろアドバイスしてくれたんです。自分のスタイルが確立するまで、ずっと聞いてたんですよ、「自分の作品ってどうなんですかね?」って。

自らの作品スタイルを見いだせた、「伴走者」の存在

「絵」っていうのがちゃんとあるのに、自分のスタイルにまだ気づけていなかったんですね。

作家さんの中では、このような悩みは普通にありますよ。

そういえば、僕もブログやってるんですけど、自分のスタイル確立できていないですね。なんとなく、ぼやっとあるだけです。

そんな感じです。あきおさんからは、その定まるきっかけを作ってくれたんです。

どんなことを言ってくれたんですか?

言ってくれたというか、自分の本気を引き出してくれるって感じでした。

自分の本気を引き出してくれる、ですか…。

もうこの人の言うことを信じようってなったんですよ。いろんな人に聞くって言うタイプじゃなかったんで。「もうとりあえず聞こう!」って決めたんです。それでも「違う」て思ったものは省いていました。でも、作品展示の時に自分の中で引っかかる部分があると、それ見抜くんですよ。「ここなんか違うよね」って。

うわぁ、凄いですね。

それで「次の展示で、もう1回本気出して来い。」って言ってくれて、熱量を上げてくれたんです。「本気の絵ってどれなん?」ってずっと自分の中で試行錯誤していました。こんな感じのことを1年間やっていたんです。

最終的にはどうなったんですか?

「次は課題はいらないです」って言ったんです。今まで課題をもらってやっても、全部微妙やったんですよ。「やりたいようにやらしてくれ」って思って。

大きく出ましたね。

それで「じゃあやってみ」って言われて、目の前にあるテーブルくらいのアクリル板に、ボールペンでめっちゃ細かく描いたんですよ。それをバーンて出したら、「めっちゃ良いやん!」ってなったんですよ。

おお!

「ようやく本気出したな!」って認めてくれたんですよ。初めて。「あぁこれか!自由にやった方が良いやん!」って。

なるほど。

でも、引き上げてくれた過程があったからこそですね。その上での「自由にやらしてくれ。」だったんで。それで、その後個展も開催させてくれたんですよ。自分の絵が定まったんで。そしたら、ちゃんと売れるようになったんですよ。

もう1人の伴走者から「作家としての生き方」を学んだ

えぇマジですか!

展示で販売していた分と追加オーダーを合わせて、会社員の初任給ぐらいは売れましたね。

実際どんな感じかわからないですけど、作品の収入としては大きんじゃないですか?

でかいっすよ。作家として始めて2−3年目だったので、もうめっちゃ嬉しくて。自信がつきました。

そりゃそうですよね。

その後も、いろんな人との出会いがあって、僕の作品にアドバイスをしてもらったんです。それを経て独立しました。そのタイミングでなっちゃん社長に会ったんですよ。

その時になっちゃん社長に出会ったんですね。

あきおさんもそうですけど、なっちゃんからも数え切れないくらい学ばせてもらいました。つながりを学んで、人との信頼関係を学んで、知識・スキルを学んで、そして経営・お金を学ばせてもらった。特にお金に関しては、自分が一番苦手な分野でした。どうやったら売れるかとか、どうやったら人気になれるかとか。それを教えてもらった通りにやると、ほんまに売れたんですよ。

えぇ!すごい。

僕が一番できたのはTwitterのフォロワーを増やすってことですね。単純にフォロワーが少なかったから注文も少なかったけど、増やしたから注文も増えた。単純なんですけど。他にもたくさん教えてもらって、売れるようになった。定期的にオーダーも貰えるようになりました。

遂に作家としてちゃんと生きていけるようになったんですね。そこから、このシェアアトリエの構想はいつ生まれたんですか?

作家ではなく、Bambiとして生きる道筋が見えた

実は、前々からシェアアトリエをやるっていう構想はずっと持ってたんですよ。作家活動をやってる時とかスタッフやってる時に、「どうしたほうが良いですかね」って相談を、結構受けていたんです。

そうだったんですね。

で、「こんな風にしたらいいんちゃう?」みたいなのとか、「あなたならこんなグッズ作ったら良いと思う」っていうのがなんとなくわかるようになったんですよ。それで、アドバイスができるんやなって思ったんですよね。自分ができることとして、作家さんに対して。

独立してから、かたわらでそのアドバイスをやっていたんですか?

うん、相手と話をしている最中にやっていて。

さりげなく。

さりげなくやっていて。「こんなん作ったらめっちゃ売れるんちゃう?」みたいな。

先ほど話してくれた、グループ展でのアーティストとのコミュニケーションを重ねてきたからこそ、自然に見えていた…。

そうそう、そうなんですよね。その人が、作りたくないものはアドバイスしないし、こういうの憧れてるやろなっていうのは話したらわかるんですよ。「服の柄にしたら良いんちゃう」とか、「ペンケース作ったら良いんちゃう」とか。

はい。

そんな経験があって、シェアアトリエの構想が生まれたんです。そしたら、ご縁があって、このシェアアトリエの運営会社であるディーマンさんに、僕のシェアアトリエの構想をプレゼンできる機会を得られたんです。

うんうん。

でも、1時間のうち、企画の打ち合わせで57分くらい押して。1時間のプレゼンタイムが3分になったんです。

たったの3分で夢が実現

まさかの。(笑)

しかも、「あぁー忘れてた!」って感じやったんですよ。(笑)

うそやん。(笑)

さらに、全然知らん関係者の人たちも5、6人ほどいてて。

おお。まっちゃ緊張するやつ。(笑)

「もう、次いかなあかんから手短に」って言われて。経歴はもちろん僕の名前も言ってないんですよ。なんも知らん状態で3分。プレゼン資料とかもう1時間分くらい作ってきてる。でも全部言えない。(笑)

物理的にもう無理やと。(笑)

結局1時間分のスレッドの1枚だけ見せて、「アーティストさんがココにいっぱい来るような場所にしたいんです!」ってだけ言ったんです。そしたら、「やってみ」ってなったんです。

(笑)

「え!? 良いんですか?!」ってなって、それが2018年の8月かな。

そのシェアアトリエについて、構想部分がどうやって形成されていったのかなっていうところをもっと詳しく聞きたいです。

なるほど。

Bambiさん自身の作品も大事やけど、やっぱBambiさんの全部詰まったものがこのシェアアトリエBambiやと思うんで。

そうなんですよ。

だからこそ大事やし、僕が気になったところでもあるんで。それで、自覚し始めたのはどういうタイミングだったんですか?こういうシェアアトリエの構想が。
3分で実現した、夢だったシェアアトリエで話す2人

「シェアアトリエBambi」が生まれたきっかけ

そうですね。作家はおもろい、楽しい、そして売ることができる、お金になる。これをあきおさんやなっちゃんに学ばせてもらって、自信がついたんですよ。自分ができたからこそ、「全員いけるやん」って思えたんですよ。僕なんて、めちゃくちゃ上手い絵描けへんし。みんなの方がうまい。素晴らしい絵を描く。やから、「みんなもできる!」って思ったんですよね。

うーん!

「このステップさえ踏めば、みんなも楽しく働ける!」っていうのが自分の中にあったんです。楽しく働ける…、いや「生きていける」って。

うんうん。

自分がどん底に落ちてから、「絵」で生きようってなって、ここまできて。だからそれを、普通にみんなに共有したいって思ったんですよ。「絵」で生きれるよっていうのを言ってあげたい。今、しんどそうに描いていても、楽しんで描けるし、売ることもできるし、食べていくこともできるっていうのを、言ってあげたいんですよ。自分がそうなれたんで。

自分がステップをひとつずつ踏めてたっていうのがあったからこそ、それを共有したいっていう気持ちが自然と生まれてきた…。

そして、ご縁でココもやらしてもらえることになったから、「プレイヤー」から「サポーター」に一旦シフトしようと思ったんですよ。

今の話を聞いて、Bambiさんの中では、結構自然な流れなんだろうなぁって思いました。

そうです、そうです。

鬱を経験してからは、大きいきっかけはそこまでない。でも、作家さんとして生きていけるプロセスを、びっくりするぐらい綺麗に踏めてるなぁって。

話をまとめると、そうかなって思えますね。

作家として、Bambiとして、その両方を掛け合わせた先に、アーティストのサポートという働き方を見いだしたBambiさん。

一見、順風満帆な人生を生きているように見えます。しかし、それは鬱という原体験があったからこそ、自分が「絵」で生きることを信じ続け、その先で出会ったいろんな人と交流があったからこそだと感じました。

今のBambiさんは、決して「孤り」ではなかったことが、強く感じられます。

長かったBambiさんとのお話も次回が最後です。今までの人生を振り返り、Bambiさんにとっての「働き方の工夫」について、お話を聞いていきます。

Blind Up.は関わりたい方をお待ちしています

ここまで読んで頂き、ありがとうございます。

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